第78回 全日本ペン書道展に行ってきました。日ペンの美子ちゃんでおなじみの日本ペン習字研究会が主催する展覧会です。開催場所は、浜松町にある東京都立産業貿易センター。昨年の記事はこちらです。
相変わらず、膨大な数の作品が展示されていて圧倒されました。私が好きな作品は漢字仮名交じり文。特に手紙が好きですね。自分で書くのは苦手ですが。(^_^;) 漢字仮名交じり文の場合、柔らかな仮名を含むせいか、極細の線で繊細に書いた作品がいいですねぇ。現代詩や手紙の作品を中心に繰り返し鑑賞しました。
全日本ペン書道展の開催期間は7/17(土)~7/20(月)だったのですが、平田秋蹊先生の無料講習会を目当てに最終日に見に行くことにしました。最終日の無料講習会は以下の2つ。両方とも聴講しました。
- 筆ペン字について-実用から作品制作へ-(講師:平田秋蹊先生)
- 曼殊院本古今集について(講師:枦元華園先生)
1. 筆ペン字について-実用から作品制作へ-(講師:平田秋蹊先生)
講義内容は以下です。
- 日ペンにおける筆ペンの歴史
- 筆ペンの種類
- オススメの筆ペン
- 筆ペンの持ち方
- 筆ペンを構成する部位の名称
- 筆ペンの筆圧、入筆、転折
- 漢字と平仮名の筆脈
1.1 日ペンにおける筆ペンの歴史
競書誌「ペンの光」で筆ペン部が始まったのは1997年。現在は大御所の先生方も田中鳴舟先生が書かれた教科書を使って勉強を始めたそうです。
1.2 筆ペンの種類
硬筆タイプ、軟筆タイプ、筆タイプがある。極細の線で書きたい場合は、硬筆タイプ、軟筆タイプがよい。「ペンの光」の課題ぐらいの大きさの文字を書くなら、筆タイプがよい。
1.3 オススメの筆ペン
平田先生が愛用しているのは「ぺんてる筆 つみ穂」。田中先生が愛用しているのは「墨液ぺんてる筆 中字」。前者は染料インク、後者は顔料インク。インクの種類によって取り扱いが異なる。顔料インクは乾きやすいので、筆の表面のインクが乾いて、筆の柔軟性が失われてしまうことに注意すること。そのようになってしまった場合は、水分を含んだティッシュなどで拭ったりすればよい。田中先生は水道に直接筆先を浸けちゃうらしい。染料インクは、乾きが遅いので、制作した作品を汚さないように注意する。
1.4 筆ペンの持ち方
できるだけ先端の所を持って、軸は垂直にする。軸を多少寝かせるのはよし。
1.5 筆ペンを構成する部位の名称
省略。
1.6 筆ペンの筆圧、入筆、転折
ペンではごまかしが効いた筆圧、入筆、転折。筆ペンでごまかしが効かない。これが筆ペンが難しいと思う原因。
入筆は、きっちりと入筆角度(斜め、真横、逆筆)を使い分けて書くこと。
横画から縦画への転折は、方向が変わる時に一度筆を浮かせた後、沈めてから縦画を書く。横画よりも縦画を太めに書く。ハネの場合は沈めず、浮かせたままハネる。
1.7 漢字と平仮名の筆脈
漢字は遠回り。漢字の場合は、画から画に遠回りに運筆する。例えば、「十」の場合、一画目の横画を書き終えた後、筆を二画目の縦画よりも左側に回り込ませ、二画目の入筆は左から打ち込む。
平仮名は近回り。平仮名の場合は、画から画に最短距離で運筆する。例えば、「あ」の場合、一画目の横画を書き終えた後、筆は二画目の縦画の左側に持って行かず、最短の移動距離で入筆させる。つまり、二画目の入筆で左側から打ち込みが入るのはだめ、右側から逆筆が入るのはよし。
1.8 その他
- 「口」の一画目と二画目の接筆については、二画目の横画の入筆で打ち込みはしないこと。接筆部分がとんがってしまうのはカッコ悪いので。
- 収筆はちょっとだけ止める。「トン、スー、ウ」の「ウ」という感じ。(田中先生談)
2. 曼殊院本古今集について(講師:枦元華園先生)
以下の簡単な説明。
- 曼殊院本古今和歌集
- 寸松庵色紙
- 元永本古今集
- 関戸本古今和歌集
- 高野切古今和歌集(第三種)
お話がアッチャコッチャに飛んでしまって、要点がよくわからなかったのですが、まとめるとこんな感じだと思います。(^_^;)
- 京都にある曼殊院に曼殊院本古今和歌集を見に行ってみましょう。
- 古筆を臨書するのは自分のクセを取るため。
- 臨書する古筆は自分で選ぶこと。好きでもないお手本を練習しても身に付かないので。
- 仮名をやる時は、規定部で学んだ左右対象や中心を通すなどはいったん忘れる。アンバランスの中のバランスということを考える。