大田垣蓮月の書に魅了されました

大田垣蓮月の書に魅了されました。大田垣蓮月は江戸時代後期から明治時代初頭にかけて活躍した歌人、陶芸家です。現在、NHKで放送されている「趣味どきっ!石川九楊の臨書入門」の「第4回 幕末の京 美しき尼僧と弟子の絆 大田垣蓮月×富岡鉄斎」で取り上げられました。この番組を観るまで、大田垣蓮月について何も知りませんでした。書道史に残るような有名な古典作品を観ても、あまりグッとくることはない私ですが、大田垣蓮月の書がテレビ画面に登場するなり、その美しさに魅了されました。自作の和歌を散らし書きした作品だったのですが、細い線で美しく繊細に書かれているのですが、何故か力強さを感じました。それがこの作品です。

大田垣蓮月

番組テキストから引用したものです。iPad miniでKindle版を表示させたものを撮影したので画像が汚くてすみません。「富士のねを 水にうつして 田子のうらの なみなみならぬ 影やみるらん」と書かれています。

私は、極細の線で優しく繊細に書かれた作品が好きなのですが、そういった作品はどうしても弱々しく見えてしまうのが悩みの種でした。蓮月の作品は、細い線で繊細に書かれていながら、弱々しさを微塵も感じさせません。番組テキストには、「細くとも強靱な書きぶりに目を留めましょう。それは緩みやブレがなく、自信を持った放物線上の円弧運動で書き進んでいるからです。」とあります。思わず、「そういうことか!」とポンと膝を打ちました。そういえば、今年の3月に櫻井紀子先生のペン習字講座に参加した時、平仮名を構成する線は楕円の一部であることを意識して書くとよいと教わりました。

大田垣蓮月

大田垣蓮月の書だけでなく、こんな書を書いた本人にも興味が出てきて、「無私の日本人 磯田道史著」を読みました。著者は、映画化もされた「武士の家計簿」の著者でもあられます。この本では、歴史上あまり知られていませんが、自分を無にして奉仕活動に尽力した3人の日本人を取り上げています。この本も映画化されるそうなのですが、残念ながら、大田垣蓮月のエピソードではないそうです。

大田垣蓮月は不幸な境遇に生まれながら、才色兼備で武道もたしなむ人だったようです。夫や子どもたちに先立たれ、尼僧になったとのこと。その美貌が半端なく、尼僧になった後も男たちに言い寄られていたそうです。それから逃れるために、自ら自分の歯を抜いて老婆のような風貌になったとか。(@_@;) 自作の和歌を刻んだ陶器「蓮月焼」が大ヒットしたのですが、質素な生活を続け、蓄えた資産は慈善事業に使ったそうです。京都の鴨川に架かる丸太町橋の製作には、蓮月が資金を提供したとのこと。蓮月焼の贋作が作られるようになると、贋作者に新たな和歌を提供したり、本物の蓮月焼を手本として提供するなど、凡人には考えられないエピソードも…。(^-^;)

以下のページにも大田垣蓮月の詳しい生い立ちが書かれています。

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