モンブランのパーマネントブラックとパーマネントブルーを吸入させていたカスタム823ですが、実験が終わったので洗浄しました。
カスタム823はプランジャー式と呼ばれるインク吸入機構を備えた万年筆です。胴軸全体がインクタンクになっており、カートリッジやコンバーターとは比較にならないほど、大量にインクを吸入できます。
胴軸内にはピストンがあり、ピストンのシャフトは尻軸につながっていて、尻軸を上下に動かすとピストンも上下します。尻軸を目一杯引いてから、ペン先をインクに浸けて、尻軸を元に戻していくと、胴軸内が真空状態になっていきます。尻軸が元の位置に戻った時にピストンと胴軸の間に隙間ができるようになっているので、真空が開放され、その隙間からインクが一気に吸入されます。
さて、洗浄方法についてなのですが、洗浄する上でちょっと問題があります。ピストンを上下させて水を出し入れしただけでは、胴軸内の両端はピストンが接していないので、そこにこびりついたインクは落とせないのです。以下の写真が、水を出し入れして洗浄した状態です。
パーマネントブルーを入れた方は、胴軸が紫色に染まってしまっていますね。(^_^; そこで、尻軸をはずして、胴軸内を綿棒で拭きます。尻軸は、7mmのスパナで簡単にはずすことができます。以下の写真は、尻軸をはずして、綿棒で拭いた状態です。
キレイになりましたね。紫色に染まってしまった方はダメかと思いましたが、キレイになりました。(^_^) ネジの部分はまだ汚れていますが、尻軸を付けてしまえば、気になりません。(^_^; あと、ペン先やペン芯も洗浄したくなりますが、ペン先の抜き差しはやめておいた方がいいです。抜き差しを繰り返すとゆるくなってしまいますから。
ピストンのラバーをシャフトに止めているネジが緩んでいる場合があるので、しっかりと閉めておきましょう。緩んでいると、インクの吸入量が減ったり、吸入できなくなったりします。左手にピストンのラバーを持って、右手でシャフトを時計回りに回すとネジが閉まります。
シリコングリスをピストンのシャフト(インクタンク内に入る側)にほんの少しだけ塗ってピストンの上下運動をさせてなじませます。余計なシリコングリスは拭き取ります。ちなみに、私が使っているシリコングリスは呉工業の「シリコングリースメイト ペースト」です。インクタンクに精製水を吸入して、尻軸は緩めた状態にして保管します。ペン芯に残留しているインクが乾いて固着してしまわないように、ペン先を下に向けておいた方がよいと思います。
パイロットに依頼して洗浄してもらった場合は、ネジ部分にネジ止め剤を塗布してもらえるかもしれませんが、私ははずせなくなってしまうのが怖いのでネジ止め剤は使いません。
カスタム823は、分解しないと胴軸内の両端にこびりついたインクが洗浄できないので、「いったんインクを決めたらインクを変えちゃダメ」と言われます。また、使用するインクによってはシリコングリスが取れてピストンの動きが固くなってしまう場合があるので、「他社製のインクは吸入するな」と言われます。でも、尻軸をはずして胴軸内を洗浄するのはとても簡単なので、私は気軽に色々なインクを楽しんでいます。
自分で分解洗浄してみようと思った方、保証期間中に自分で分解洗浄してしまったら、保証期間は無効になると思いますので、ご注意ください。